コラム
Update at: 12/03/12
2012.2.29警戒地区の動物たち
2月29日、関東から東北にかけて大雪が降り積もった。めったに雪が降らない福島県浜通りだが、この日はごらんの通りの雪。
『ふくしま国際メディア村』では、福島第一原発の警戒地域で牛の保護をしており、いわき本部長が毎日牛たちにエサをあげに行っている。
この日も雪の中、餌がくるのを待ちわびている牛たちの所に車を走らせた。
検問も抜け警戒地区(福島県富岡町)に入ると、警察以外で人と出くわすことは全くない。避難しないで住み続けている人もいるが7人程度である。家はあっても人気は全くない街である。
しかし、そこにあの3月11日から1年間、何がどうなったか訳もわからず、ただ彷徨っている動物たちがいる。
この日、最初に見かけたのは誰もいない民家前の牛。人が恋しくなったのだろうか、それとも食べる物を物色するためだろうか、庭をうろついていた。
3月6日、私も現地に同行して牛に餌をやる作業の手伝いをした。
私達を待っているのは牛だけでなく、黒と白の2匹の犬。私達の車を見つけ駆け寄るクロ(勝手に命名)。近くには来るが、一定の距離以上は近づこうとはしない。かなり警戒している。
検問所の前で買ったパンをあげたが、近くには寄ってこなかった。なんとか近くで観察しようと「クロ、シロ」と大声で呼んでみたがダメだった。パンを置いて、その場を離れるとようやく近寄り、パンをむさぼりながら食べた。
(写真の左奥は、保護された牛たち)
餌の匂いを嗅ぎつけてきたのは、犬たちだけではなく野牛たちもそうだ。野牛といっても、ついこの間まで牛舎で飼われていた黒毛和牛たち。仲間によれば、黒毛に交じって乳牛のホルスタインもいたそうだ。
用意してきた餌を、この牛たちにも分け与えた。犬たちと同じで最初は警戒して近づこうとしなかった。しばらくすると空腹には勝てなかったのか、4頭とも近づいて食べ始めた。4種とも痩せていたが、かいわそうに子牛(写真左端)は特に痩せていた。
警戒地域で保護している牛は約40頭。毎日、いわき市から1時間かけて餌を運んでいる。車が近づくと懐っこい顔をした牛たちが寄ってくる。そして野牛も犬たちも。 早く飼い主の所に戻してあげたい。
(餌をあげている、いわき本部長) (野牛の群れ)
文責:荻野政男
ふくしま国際メディア村では「牛の餌」「牛たちに餌を与えてくれる方」のボランティアを募集しております。詳細はこちらのページをご覧ください。
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